男だったら
「どうしてですか!?」


「どうしてって……。
お前は女だろうが」


二山先生にそう言われるまで気づかない私って、本当にバカだと思う。


入団していた小学校の野球チームで女は私一人、小学2年の時から全試合見ている甲子園に出場している選手も全員男だったのに。



……ショックだった。


「お父さん……」


「何だ? ひろ」


タタタタタ……ドン!! ギュッ…。


「ごめん……」


「どうした? 何かあったのか?」


「………ごめん」


お父さんの夢を叶えてあげられない。


私は女だから。


男だったら夢を叶えられたのに。


私は……女だから。


夢をなくし、野球部への入部をやめた私は二山先生に勧められたソフトボール部に入部した。
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