男だったら
変更するつもりなんてなかったけど、進路決定の3日前。


「本当に下条高校に行くのか?」


「うん…」


「本当は上条高校に行きたいのに?」


「……えっ?」


「野球、やりたいんだろ?」


「……やっても…甲子園には出場できないし」


「確かに甲子園にひろは出場できないけど、行く事はできるんじゃないか? 部員の一人としてなら」


「………」


「そのためには、野球の強豪校の上条高校に入らないと」


「でも……」


「お父さんはひろが行きたい所でやりたい事をやって欲しいな…」



お父さんのその一言に背中を押され、自分の行きたい所に来て、自分のやりたい事をやろうとしたのに。


野球部の監督である武藤に入部を断られてしまった。



理由は私が女だから。
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