10円玉、消えた
少し待つと、やはり幸子は口を開いた。
「それにさ、あんたにはちゃんと高校を出て、それからできれば大学にも行って、そこそこ立派な会社に勤められるようになってほしいんだよ」
母のこの言葉は、竜太郎にとって実に意外なものであった。
「え、この店は継がなくていいのかい?」
当然竜太郎は幸子に聞く。
それに対して幸子はまるで吐き捨てるように言葉を返した。
「こんな店、もうどうだっていいさ」
なんだ?母さんのこの言い方は。
まさか母さんが店のことをこんな風に考えてるとは思わなかった。
昔から父さんが俺に跡を継がせようとしてたのはわかる。
でも母さんだって、父さんの意見には賛成してたんじゃなかったっけ?
竜太郎に店を継がせることに関しては、確かに源太郎も幸子も同じ意見だった。
もちろん源太郎の方が熱心であったが、幸子もよくこう言っていた。
「なるからには、お父さんみたいな美味しいラーメンを作る職人さんになるんだよ。それにお店って毎日毎日変化があるから、普通の勤め人さんよりもずっと楽しいよ」と。
「それにさ、あんたにはちゃんと高校を出て、それからできれば大学にも行って、そこそこ立派な会社に勤められるようになってほしいんだよ」
母のこの言葉は、竜太郎にとって実に意外なものであった。
「え、この店は継がなくていいのかい?」
当然竜太郎は幸子に聞く。
それに対して幸子はまるで吐き捨てるように言葉を返した。
「こんな店、もうどうだっていいさ」
なんだ?母さんのこの言い方は。
まさか母さんが店のことをこんな風に考えてるとは思わなかった。
昔から父さんが俺に跡を継がせようとしてたのはわかる。
でも母さんだって、父さんの意見には賛成してたんじゃなかったっけ?
竜太郎に店を継がせることに関しては、確かに源太郎も幸子も同じ意見だった。
もちろん源太郎の方が熱心であったが、幸子もよくこう言っていた。
「なるからには、お父さんみたいな美味しいラーメンを作る職人さんになるんだよ。それにお店って毎日毎日変化があるから、普通の勤め人さんよりもずっと楽しいよ」と。