10円玉、消えた
商売が繁盛していたとき、小学生の竜太郎は父親が颯爽とラーメンを作る姿にカッコ良さを感じていた。
だから親がレールを敷いているいないに関わらず、将来は自分も絶対ラーメン屋をやるんだと強く心に思っていた。
だが、数年前からの父のこの変わりようにすっかり幻滅。
ラーメン屋への憧れなどは殆ど無くなってしまった。
竜太郎がいま漠然と考えている将来の目標は漫画家。
元々絵が好きで、中2からはペンや墨を使って本格的に漫画を描くようになった。
描くのは大抵4コマ漫画やギャグ漫画。
出来上がると友達に読ませ、そしてその友達がクラス中に彼の漫画を広めた。
「上手いなあ、お前」
「オモシロ~い」
「竜太郎、早く続きを描けよ」
と、クラスで大変な好評を博し、竜太郎はかなり“その気”になっている。
ただ、彼には気がかりなことがあった。
それは、父が苦労して一代で築き上げたこの『らあめん堂』をあっさり潰してしまっていいものか、という点だ。
10年後の将来をふと考えると、そのことが竜太郎にとって最大のテーマになるのであった。
部屋に横たわった竜太郎は、無意識に『ささやかなこの人生』を口ずさんでいた。
だから親がレールを敷いているいないに関わらず、将来は自分も絶対ラーメン屋をやるんだと強く心に思っていた。
だが、数年前からの父のこの変わりようにすっかり幻滅。
ラーメン屋への憧れなどは殆ど無くなってしまった。
竜太郎がいま漠然と考えている将来の目標は漫画家。
元々絵が好きで、中2からはペンや墨を使って本格的に漫画を描くようになった。
描くのは大抵4コマ漫画やギャグ漫画。
出来上がると友達に読ませ、そしてその友達がクラス中に彼の漫画を広めた。
「上手いなあ、お前」
「オモシロ~い」
「竜太郎、早く続きを描けよ」
と、クラスで大変な好評を博し、竜太郎はかなり“その気”になっている。
ただ、彼には気がかりなことがあった。
それは、父が苦労して一代で築き上げたこの『らあめん堂』をあっさり潰してしまっていいものか、という点だ。
10年後の将来をふと考えると、そのことが竜太郎にとって最大のテーマになるのであった。
部屋に横たわった竜太郎は、無意識に『ささやかなこの人生』を口ずさんでいた。