10円玉、消えた
「いつ落としたんだ?」
「昨日」
「で、いくら?」
「10円」
「10円?それなら諦めろよ。きっと近所の子供に拾われちまったって。そんなことよりグズグズしてると遅刻するぜ。行こうよ」
「ああ、そうだな」
まあいいや、占いのことはもう忘れよう。
あの爺さんが言うように、将来なんて結局は自分で決めることなんだから。
竜太郎は以前は卓球部に所属していたが、元々それほど身を入れていたわけではない。
従って二年生終了時に退部し、いまはいわゆる“帰宅部”だ。
対して友和は剣道部に所属し、いまだ部活動に励んでいる。
この違いが二人の接点を少なくし、同じ町内の同級生同士であっても、それほど親しくならない原因となっている。
だがこうして顔を合わせば、お互い話しが弾む間柄ではある。
「なあトモ、お前自分の将来について考えたことある?」
と竜太郎が友和に聞く。
「なんだよ突然、真面目クサって」
「だってさ、俺ら今年で15だろ。あと5年でハタチだ。そしたらもうすっかり大人だぜ。そんときに俺は何をやってるんだろうなって考えちゃったんだよ」
「なるほどな。で、お前はやっぱり漫画家目指すのか?」
「昨日」
「で、いくら?」
「10円」
「10円?それなら諦めろよ。きっと近所の子供に拾われちまったって。そんなことよりグズグズしてると遅刻するぜ。行こうよ」
「ああ、そうだな」
まあいいや、占いのことはもう忘れよう。
あの爺さんが言うように、将来なんて結局は自分で決めることなんだから。
竜太郎は以前は卓球部に所属していたが、元々それほど身を入れていたわけではない。
従って二年生終了時に退部し、いまはいわゆる“帰宅部”だ。
対して友和は剣道部に所属し、いまだ部活動に励んでいる。
この違いが二人の接点を少なくし、同じ町内の同級生同士であっても、それほど親しくならない原因となっている。
だがこうして顔を合わせば、お互い話しが弾む間柄ではある。
「なあトモ、お前自分の将来について考えたことある?」
と竜太郎が友和に聞く。
「なんだよ突然、真面目クサって」
「だってさ、俺ら今年で15だろ。あと5年でハタチだ。そしたらもうすっかり大人だぜ。そんときに俺は何をやってるんだろうなって考えちゃったんだよ」
「なるほどな。で、お前はやっぱり漫画家目指すのか?」