甘い唇は何を囁くか
「早く来いって。」

宗眞が苛立った声で急かした。

「…分かってるわよ!」

って答えたけど、どうしても足が動かない。

魔法にかかってしまったみたい。

石化してしまったのよ。

自分の力じゃ、どうしようもない。

宗眞はまたため息を零すと、言った。

「迎えには行かないぜ・・・?あんたが、自分の足で俺んとこに来るんだ。」

呆れたみたいに、そんなふうに言われると、自分でも抑えきれなくなってまた涙が出てきた。

分かってるわよ。

自分で選んだんだから。

あんたに・・・

あんたとするってこと

「別にバージンでもあるまいしさ。」

って、何でそんなこと言われなきゃならないわけ?

ぽろぽろと涙がこぼれる。

そうよ、最初からあんたっていけすかない奴だったわ。

男を漁りに来たんだろなんて言葉も言われたもんね。

結果的に、こうなっちゃってるんだからそれは間違っているともいえないかもね

ええ、そうね

あんたの言うとおりよ

私はアバズレよ

もう言い方古いかもしれませんけど仕方ないでしょ

どうせ、もう三十路だし

若くないし

バージンじゃないし

もったいぶってんじゃないよ、って言いたいんでしょ

ええ、そうね

そのとおりよ

行くわよ

行けばいいんでしょ行けば!

ああくそっ

なんだってこの足は動かないわけ・・・・???
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