甘い唇は何を囁くか
そりゃそう・・・だよね。

仕方のないこととはいえ、自分で選んで来たのに

こんなに泣かれたらいい気はしないはずだよね。

って言っても、受け入れることはできないのよ。

どうしたって―。

スンと鼻をすすって、目の前にいる宗眞を見遣った。

呆れたみたいに、けどさっきよりは少し優しげにこちらを見ている。

「落ち着いたか?」

遼子は小さく頷いた。

「ま、儀式だとでも思えば良いんじゃね?」

宗眞はポケットから煙草を出すと、火をつけながら言った。

儀式・・・・

「人間をやめて、ヴァンプになるための儀式。そのための通過点だって。別に俺に抱かれて感じろって言ってんじゃないし。一回だけだし。」

・・・

「…ん。」

うん、と繰り返し頷く。

シスカのもとに戻る時には、宗眞のことも忘れてるんだし。

そう、思おう。

そして、早く、ちゃっちゃと終わらして、戻るんだ。

シスカの・・・

シスカのところに―。

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