甘い唇は何を囁くか
まったく、怯えて震えているくせに、何だって俺を更にイラつかせるようなことを言うんだ。

宗眞は遼子に顔を近づけて、真顔で答えた。

「死んだ。」

「・・・え?」

聞こえなかったわけがない。

信じられないって顔だ。

いいよ、もう一回でも何回でも言ってやるよ。

あんたが聞きたいって言うんだからな。

「死んだよ、俺が殺したの。」

そして、遼子の返事を待たずに、その小さな形の良い顎に指をかけた。

唇の形やその柔らかさを指先で確かめるように、なぞる。

それから、間をあけずに、唇で塞いだ。

死んだ

俺が殺した

その台詞に俺だってこんなに―心がかき乱される。

今更、・・・だ。

舌と舌を絡ませて、口の中をまさぐる。

唇を少し離した時に漏れる水音は、こんな状況だって興奮させる。

固くなった身体を引き寄せようと、手を伸ばした。

どんっ!

思わぬ追突に体が離れる。

遼子は腕を前に伸ばして口を半開きにしたままはぁはぁと息を上げて宗眞を睨んだ。

目じりには涙。

何だよ、けっこう良い唇してんじゃん。
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