甘い唇は何を囁くか
遼子の身体をベッドに下ろして、渋る唇を離した。

愛しい存在をじっと見つめながら、服を脱ぎ捨てる。

宗眞は部屋の外においてきたが、あいつは同胞。

窓からでもどこからでも簡単に入ってこれることは分かっている。

まぁ、どうでもいい。

見たいなら、見せ付けてやらないでもない。

遼子の身体と、その紅い瞳を見下ろしてベッドに上がる。

もう、どうしようもなく求め合っている。

愛している。

愛している―、どれほどそう言葉にしても足りないほどに。

お前しか、もうほしくはない。

遼子が、自分を求めているのは、自分と同じように愛があるゆえではない。

はじめて目覚めたヴァンパイアの血が、その本能が、男の・・・雄の生気を求めているだけだ。

そんなことは分かっている。

この溢れ出すフェロモンは、蝶がふりまく煌く粉のようなものだ。

捕らえられると、逃げることはできない。
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