甘い唇は何を囁くか
季節は 秋だった。

頬を掠めていく風にも冷たさを感じる。

今日のディナーを物色している宗眞の目に ひとりの少女の姿が映った。

薄いブルーのワンピースを着た銀色の髪の少女だ。

銀の髪などというめずらしい色に、まず惹きつけられた。

まさか―。

いや、そんなことがあるわけがない。

ヴァンパイアには生殖能力はない。

ない、そのはずだ。

自分の子種で孕んだ人間の女など・・・いない。

いや、もとより、みなすぐに毒で死んでしまうのだから、そうなる行程も踏めないのだが・・・。

だが、その少女が振り返ると、宗眞は息を忘れて立ち尽くしていた。


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