甘い唇は何を囁くか
そうか―。

宗眞は、そう呟いてその娘を見つめた。

自分が

手に入れることのできなかった未来

それが、そこにある

夢も希望もなく

ただ、生きる

それだけのために人間の生き血を啜り

ひとところに留まらず流れ流れて

様々な土地を転々とする

そうして、ひとりで生きていくことに

何のためらいもなかった

なかったのに・・・
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