甘い唇は何を囁くか
「宗眞・・・?」

遼子の声に我に返った。

ははっと引きつった笑いを返して、手を軽く挙げた。

「良かったな、じゃ。」

じゃあ、と言って背を向けた。

「え、しゅ・・・。」

宗眞、と遼子が言う。

その声を聞きながら、その身体を抱いたあの日はもう遠すぎる

自分たちには、昨日も明日もあるわけじゃない。

そんなものない。

ないのに・・・もう、すべてが遠い

あの時・・・

「・・・いや、もう・・・」

あの時、シスカよりも

早く

遼子をもう一度・・・抱いていれば

何かが変わっていただろうか・・・

いいや・・・

もう、もう遅い―。。。。
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