甘い唇は何を囁くか
あの女のことを考えていた。
自分の気持ちが見えないまま、どうしてもあの女の声が、あの女の匂いが忘れられずにいた。
睡魔を知らないこの身体は、月の明かりを頼りにどこにでも行ける。
だからだろう。
理由なんかあるはずもない。
バンジェスの言ったことを鵜呑みにするつもりはない。
だが―。
シスカは、白いテラスを見上げた。
あの窓の向こうにあの女がいる。
そう思うと、何故か胸の奥が締め付けられるように感じた。
愛している…?
そんなはずがない。
この身にそんな感情が残されているわけがない。
そうじゃない。
絶対に、違う。
言い聞かせるように、頭の中で繰り返していた。
なのに…
それなのに、シスカは思い知った。
月光が僅かに照らし出すそのテラスに出てきた人影に、その髪の長さ、揺れるフリル。
女だ―。
ドクン
身体の奥で何かが脈打つ。
間違いない、あの女だ。
月を見上げるその視線が、ゆっくりと堕ちて来る。
その目が、シスカを捉えるまで時間は要さなかった。
シスカは硬直し、女と見詰め合ったまま息を詰めていた。
その時間は無限であり、一瞬であり、たまらなく・・・シスカは感じるはずのない感情が心の中を占めていくのを感じて、逃げるように視線を外した。
どうしてだ―?
なぜ、他の女のように感じることができない?
喰えない女など、もはや食物でもない。
自分が必要以上に追う価値などどこにもないような粗末な女だ。
なのに、どうしてこんなに―。
シスカは首を振り、自問して歩き出した。
なぜ、こんなところに来た。
なぜ、あの女は今、顔を出した。。。
自分の気持ちが見えないまま、どうしてもあの女の声が、あの女の匂いが忘れられずにいた。
睡魔を知らないこの身体は、月の明かりを頼りにどこにでも行ける。
だからだろう。
理由なんかあるはずもない。
バンジェスの言ったことを鵜呑みにするつもりはない。
だが―。
シスカは、白いテラスを見上げた。
あの窓の向こうにあの女がいる。
そう思うと、何故か胸の奥が締め付けられるように感じた。
愛している…?
そんなはずがない。
この身にそんな感情が残されているわけがない。
そうじゃない。
絶対に、違う。
言い聞かせるように、頭の中で繰り返していた。
なのに…
それなのに、シスカは思い知った。
月光が僅かに照らし出すそのテラスに出てきた人影に、その髪の長さ、揺れるフリル。
女だ―。
ドクン
身体の奥で何かが脈打つ。
間違いない、あの女だ。
月を見上げるその視線が、ゆっくりと堕ちて来る。
その目が、シスカを捉えるまで時間は要さなかった。
シスカは硬直し、女と見詰め合ったまま息を詰めていた。
その時間は無限であり、一瞬であり、たまらなく・・・シスカは感じるはずのない感情が心の中を占めていくのを感じて、逃げるように視線を外した。
どうしてだ―?
なぜ、他の女のように感じることができない?
喰えない女など、もはや食物でもない。
自分が必要以上に追う価値などどこにもないような粗末な女だ。
なのに、どうしてこんなに―。
シスカは首を振り、自問して歩き出した。
なぜ、こんなところに来た。
なぜ、あの女は今、顔を出した。。。