甘い唇は何を囁くか
シスカの服を掴む指先から、仄かに体温が伝わってくる。

たまらなく愛しいー。

たまらなく、欲しいー。

遼子ーーー。

シスカは唇を噛み締めて視線を逸らした。

わからない。。

どうして、こんなことをー?

【お前は運命を見つけたのだーー】

バンジェスの言葉がよみがえる。

そうーなのか…。。

「…こっち、見てよ…。」

遼子が、か細い声で言った。

羽音のように弱々しいのに、何と強力な磁力なのかー、逆らうことができない。

シスカは、ゆっくりと視線を遼子に戻した。

潤んだ瞳、上気した頬。

甘い香りー。

「…りょ、う…こー。」

区切り区切り、壊れた機械のように、その名を口にすると、遼子は夜の闇を照らすほどに顔を紅く染めた。
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