甘い唇は何を囁くか
何だか自分の名前じゃないみたいに感じて、とんでもなく恥ずかしくなった。

思わず目を伏せて、でも彼がどんな目で自分を見ているのか気になって、すぐに顔を挙げた。

こんなに綺麗な人が、私のことを好きーなんて…信じられないけど…。

とんでもなくあまのじゃくで、みえっぱりで、プライドのかたまりみたいな人だけど…それでも。。

遼子は、恐々と、たどたどしく、呟いた。

「…私も、好きー。あなたの、こと…。」

まだ、何も答えてくれてない。

けど、どこか確信がある。

だって、好きでなきゃ、いつ顔を出すかわからない相手のこと、窓の下で待つことなんかできるはずがないもの。

遼子は、震えながら返事を待った。

寒さからなのかーそれとも緊張しているのか、怖いのかーー。

彼は、ようやく唇を解いて声を発した。

「…運命、か…?」

「…は…?」

質問の意味が理解できなくて、張り付いた笑顔で問い返した。

「どういうこと?」

「俺を好きだ、と言っただろう。それは、お前が俺に運命を感じたということかー?」

運命ぃ…?

いきなりの重い言葉に、返事ができない。

運命というと、一生的な?

え…それってつまり、結婚も考えてお付き合いしましょうってこと?

えー??もー!!

どんだけ言葉足らずなわけ?

やだ、顔暑いーー。

遼子は、頬を手のひらで打ちながら答えた。

「そ、そりゃ私も、もう若くないし?一応、その…遊びで?お付き合いしようとは思ってないですよ?」

シスカは、遼子を見下ろして唇を舐めた。

たまらない芳香に、今にも牙が出そうになる。

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