甘い唇は何を囁くか
愛しい・・・愛しい・・・

こんな気持ちははじめてだ。

否、人間だった頃を思い出すことなど、もう永い間なかったのに。

シスカは高潮した自身の高ぶりを感じながら、組み敷いた遼子を見下ろした。

触れる唇から、流れ込んでくる濃いエナジーは濃密なワインのように味わい深い。

それだけでは足りず、遼子の肩に手を置いて、この手の行き先を思案した。

もう、待てない―。

もう、戻れない―。

それだけは確かだ。

柔らかなふたつの膨らみ、そしてもう幾度も触れ慣れているはずのそれに手を這わす。

愛しい、いとしい・・・ドキドキと心臓の音が手のひらをつたい、シスカの中にまで響いてくる。

その音は、紛れもなく生きている証。

優しく、優しく揉みしだき、唇も休めず、遼子の身体を確かめていく。

血を求める欲求が高まるのが分かる。

シスカは遼子を熱を込めた目で焼け付くように見つめた。

スカート、そこから伸びた白い足、見るからに柔らかそうで、もう片方の手を這わすと、思ったとおりしっとりとしていて、滑らかで手が吸い付いた。

遼子は怯えているのか、それとも感じているのか、時折びくりと身を揺らす。

うっすらと開けている瞳を時折閉じては、目じりに涙がたまっているのが、例えようもなく欲情を煽る。

ヴァンパイアになってから、激しく女を求めるようになった。

そう、性欲と血への渇望は同様なのだと知った。

だが、これほど―これほどの・・・。

遼子の太ももをゆっくりとそっとなぞり上がっていく。

「や・・・。」

その甘い声に、シスカはくすりと微笑んだ。

「イヤ・・・?」

遼子は紅く染めた頬に潤んだ瞳でシスカを見つめてくる。

「こんなに熱くなっているのに・・・イヤなのか・・・?」

そんなはずがない。

おへそのあたりを優しく指先でぐるりと撫でてその反応を愉しんでからもう一度囁いた。

「イヤじゃ、ないだろう?」

高まる体温に甘い香りが益々濃くなる。

血が欲しい。

それと同様に、早く交わりたい、その欲求が針のようにシスカを刺す。

だが、その前に十分に・・・この女を感じさせてやりたい。

「遼子・・・?」

シスカはおへそのあたりからゆっくりと、ゆっくりと手を下へと下ろしていく。

もう、しっとりと潤んでいる。

それが布の上からでも指先に感じられた。

それが、嬉しくて、震える遼子の耳元で言う。

「もう、感じてる・・・。」

遼子は荒く息を吐いて小さく「言わないで」と答えた。

たまらなく、興奮する。

どうしたら良いのか、どうしてやろうかと、シスカは惑いながらその布に指をかけた。



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