甘美な蜜のプワゾン
「おい太郎、正気か? 何でお前がそこまでするんだ」

「なんでって、どうせ帰っても暇だし。それに偶然とはいえ蘭ちゃんに会ったわけだし。レディを送るってことが何か悪いのか?」

「悪いとか、そういう事を言ってるんじゃなくてだな――」

「右京、ムリに俺に付き合わなくてもいいぞ」

「いや、行く」

(行くんかい!)

即答する右京に思わず心の中で突っ込まずにはいられない蘭。
太郎もそれが顔に出ていた。


何だか妙な事になった。

目立つ太郎が街を歩けば、それは大変な注目の的だ。

並外れた美貌。
風に靡くミルクティー色の髪。

何をするわけでもなく、ただ歩いているだけなのに無駄に色気があったりして……。

そんな太郎の隣を歩くにはかなりの勇気がいる。
蘭は太郎の陰に隠れるように、こっそり付いていくしかない。

だけどそれも一瞬だけで、直ぐに気付かれてしまう。

「ねぇ、蘭ちゃんが後ろ歩いたら意味ないだろ?」

クスリと笑って太郎は蘭に振り向く。

「あはは……ですよね」

「ですよ」

太郎が一歩下がって蘭に並ぶと、右京も仕方なさそうに一緒に並んできた。





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