永遠の眠りの先

　目を瞑ってはいけない。一秒長くでも懸命に生きよう。と思えるのももう終わりかもしれない。でも、最後に家族一人にでも会いたい。何でこんな弱い体で生まれてしまったんだろう。子供の頃からずっと疑問に思い続けたことが、今になっても解らず、このまま死ねとでも言うのか。
　もっとみんなと笑っていたかった。短くともせめて卒業式まで生きたかった。

　世の中は、なんて残酷なんだろう。普通に生きたかった。体が弱いとか、病気とかこの世に無ければ、私以外のみんなももっと幸せに暮らせたはずなのに。
　視界がどんどんぼやけてく。今、お父さんとお母さんはどんな表情をしてるんだろう。そもそも、今此処に居るのはお父さんとお母さんなのだろうか。そんなことも分からなかった。
　手足の感覚が無い。動かそうとも出来ないし、ベッドの上に居るということすら分からない。確実に、死の直前だ。

　その瞬間、ついさっきまでぼやぼやと見えていたはずの視界が真っ暗な闇に包まれた。何でだろう。目を開けているはずなのに、何も見えなくない。