永遠の眠りの先
 目の前が真っ暗な闇になったというのに、何故か私は冷静だった。

「誰か居ませんか__…!」

 声が出る。どうやら此処はさっきまで私がいた病室ではないそうだ。しかし声が出せるだけで、匂いは無いし、音も聴こえないし、目の前も、ただの闇だった。しかし手を伸ばせば自分の手は見えるので、此処は本当に真っ暗らしい。
 もしかすると、此処は病院ではなく、地球でもない。つまり、此処は天国までの道。私は死んだのだ。
「…ついに、死んじゃったか」
 もうしょうがないという気分で暗闇を歩いた。しかし歩いても歩いても、まるで同じところを廻っているように光は見えない。

「__あの!」
 もう一度声を出してみる。やっぱり返事一つ返ってこなかった。しばらく何度か繰り返し言い続けるが、辺りはしんとしたままだ。
 へなへなとその場に座った。駄目だ。どうすれば良いんだろう。疲れたという感覚等無いが、さすがにずっと歩いていると馬鹿馬鹿しく感じてくる。きっと此処に座ってるとすぐ誰かが来るだろう…。
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