甘い恋飯は残業後に
「おう、桑原。今日は兄貴の応援に来たのか?」
あまりに驚き過ぎて、言葉が続かない。
「あれ? ……ああそっか。そう言えば、バーサンと万椰っておんなじ会社なんだっけ」
「ああ。お前の妹は今、俺の部下だ」
「えー!? マジでー?」
兄貴が「ちゃんと務まってんのかよー」などと騒いでいるのを、わたしはぼんやりと遠くに聞いていた。
“バーサン”の正体が難波さん……?
だめだ。頭の中が、グルグルと渦を巻いてて何が何だか……。
「桑原」
「……えっ」
ふいに名前を呼ばれ、わたしは慌てて難波さんの方を向いた。
「これ、あとでみんなで飲ませてもらうから」
難波さんが手にしていたのは、わたしが差し入れたレモンライムハニーのボトル。
「あ……はい」
「兄貴だけじゃなく、今日は俺のことも少しは応援してくれよ」
そう言ってスタッフらしき人物へボトルを渡すと、彼は円陣の中へと交ざっていった。