甘い恋飯は残業後に


「おう、桑原。今日は兄貴の応援に来たのか?」


あまりに驚き過ぎて、言葉が続かない。

「あれ? ……ああそっか。そう言えば、バーサンと万椰っておんなじ会社なんだっけ」

「ああ。お前の妹は今、俺の部下だ」

「えー!? マジでー?」

兄貴が「ちゃんと務まってんのかよー」などと騒いでいるのを、わたしはぼんやりと遠くに聞いていた。


“バーサン”の正体が難波さん……?

だめだ。頭の中が、グルグルと渦を巻いてて何が何だか……。


「桑原」

「……えっ」

ふいに名前を呼ばれ、わたしは慌てて難波さんの方を向いた。


「これ、あとでみんなで飲ませてもらうから」

難波さんが手にしていたのは、わたしが差し入れたレモンライムハニーのボトル。

「あ……はい」

「兄貴だけじゃなく、今日は俺のことも少しは応援してくれよ」

そう言ってスタッフらしき人物へボトルを渡すと、彼は円陣の中へと交ざっていった。


< 102 / 305 >

この作品をシェア

pagetop