甘い恋飯は残業後に


「千里ー!」

相変わらず、観客席からは兄貴に黄色い声援が飛んでいる。

サッカーのことはあまり詳しくはないけど、難波さんはどうやら守備と攻撃を兼ね備えたポジションのようだ。兄貴は完全に攻撃的ポジション。兄貴がゴールを狙いにいく度に、さっきのような黄色い声が上がる。


「きゃあ、難波さーん!」

ふいに聞こえてきた声援に驚いて、右側に視線を向けた。

彼女達はフェンスから身を乗り出し、キラキラと目を輝かせている。


――難波さんも、意外と人気あるんだ。

意外と、というのは失礼かもしれないけど、驚いたのだから仕方がない。


よく聞いていると、女性陣の声援は兄貴と難波さんに向けてがほとんどだった。

それもその筈。素人目に見ても、サッカーのテクニックはふたりがチームの中で抜きん出ていた。誰しもがそこに視線を向けるのは、当然のことだと思える。


悔しいけど――凄く、格好良かった。


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