甘い恋飯は残業後に


*


「じゃ、今日は存分に勝利の美酒に酔いしれましょう! カンパーイ!!」

みんな高々とグラスを突き上げ、店中に「乾杯」という声が響き渡る。


今、叔父さんの店にいるのは二十人ちょっと。選手と応援に来ていた人達でわらわらとここまで移動してきた。当然、お店は本日貸切。

兄貴に聞いたところによると、どうやら試合の後は勝っても負けてもここで打ち上げをするのが恒例になっているらしい。土曜は叔父さんの店にはほとんど来ないから、そんなことをしていたことも知らなかった。


わたしはテーブル席へ勧められたのを、落ち着かないからという理由で丁重に断り、いつもの定位置であるカウンターに座った。

こういう男女入り乱れての、しかも見ず知らずの人間がたくさんいる場に交じるのはどうしても苦手だ。

別に人見知りという訳ではなく、過去に何度も嫌な思いをしたから。


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