甘い恋飯は残業後に



「千里妹、飲んでるー?」

宴会も山場をむかえた頃、ひとりカウンターで飲んでいたわたしの隣に例の先輩が座ってきた。様子を探るまでもなく、先輩は完全に出来上がっている。

「ええ、おいしくいただいてます」

酔っ払いには淡々と冷静に対応した方がいい、とこれまでの経験で学習している。そうすれば角が立つこともなく、相手が勝手に引いてくれるのだ。


「何だ、つれないなぁ。俺みたいなおっさんは好みじゃない?」

「別に、好みじゃないってことでは……」

だらりと寄りかかられ、わたしは思わず身を縮めた。


「原田センパーイ、万椰は年上好きですから、大丈夫っすよ!」

テーブル席から兄貴がとんでもなく余計なことを叫んでくれる。

いつわたしが年上好きだって言ったんだ! このバカ兄貴め。


「マヤちゃんっていうんだ。見た目も美しいけど、名前も美しいねぇ」

「……それは、ありがとうございます」

原田先輩の酒臭い息が頬にかかる。くっつかないで、と叫びたい衝動に駆られたが、兄貴の手前、ここはぐっと我慢する。


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