甘い恋飯は残業後に


「でも難波さん、どうしてカンパニー長を蹴ってまで、店舗マネージャーなんかやってたんですかね?」

水上ちゃんがふと、そんな疑問を口にした。


わたしもそのことは常々疑問に思っていた。

難波さんは『Caro』の企画立ち上げ中心メンバーで、フォレストフードカンパニーを設立する時、是非カンパニー長に、とモリヤの上層部からも推薦されていた。
が、彼はそれをあっさり蹴り、本人の意思で店舗マネージャーにおさまったのだ。


本人はまだまだ店舗マネージャーを続けたかったようだけど、さすがにもういいだろう、とこの春、フォレストフード本部へ引き戻されたらしい。

取締役でもない、ただの部長の身分で重役会議に出席しているのは、そういう理由からだった。



「その辺は俺もわからないな。自分達が立ち上げた店に、何かこだわりがあったのかもしれないし。ただ、前にカンパニー長が『あいつは変人だから』って言ってたのは聞いたけど……」

「本当に変人ですよ、あの人は」

わたしがそう冷たく言い捨てたことに、大貫課長も水上ちゃんも驚いている。


――しまった。会社では発言に気をつけていたのに。


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