甘い恋飯は残業後に
これを誰かに聞かれでもしたら、また「美人はやっぱり性格悪いよね」とか陰で言われかねない。
わたしは慌てて「変人と言われる程、他の人と違った視点を持っていたからこそ、『Caro』の企画も立ち上げられたんでしょうね」とその場を無理矢理取り繕った。
「そうそう。私、ずーっと難波さんって誰かに似てると思ってたんですけど、やっとこの間、それが誰だったのかわかったんですよ!」
誰かに似てたっけ、あの人。
そう思いながら彼女を見ると、水上ちゃんはさっきとは打って変わって、キラキラと目を輝かせている。
「最近の朝ドラに出てる俳優さんで……えっと、名前はちょっとわかんないんですけど、あのガタイのいい人、いるじゃないですか」
「あー、あの俳優さん?」
大貫課長はその人が誰かわかったらしく、「確かに似てる」と水上ちゃんと盛り上がっている。わたしはそれが誰かわからず、会話に交ざれなくてちょっと悔しい。
「その人って、カッコいいの……?」
水上ちゃんがはしゃぐぐらいだから、多分イケメンなんだろう、とは想像つくけど。
「カッコいいですよ! 万椰さん、筋肉フェチなら、あの俳優さん絶対好きだと思うなー」
「……そうなんだ」
大貫課長のせいで、水上ちゃんにまで筋肉フェチだと認識されてしまった。
もう、どうしてくれるのよ。