甘い恋飯は残業後に


「そんなのは驕りだ」

言われた言葉が今一つ納得できず、難波さんの方を見る。


「そいつにとって、桑原はそこまでの影響力があると思ってるのか」

「別、に……そういうつもりは」

そんなきつい言い方しなくてもいいじゃない。そう喉まで出かかって、やめた。

また、俯いてしまう。


「トラブルはそいつ本人のせいじゃない場合もあるが、仮にそいつに原因があるとしてだ、桑原が何か責められるようなことをしたのか? 桑原とのことが気になって仕事が手につかないというなら、きちんと公私を切り替えられないそいつが悪いんだろう」

理屈はそうかもしれない。わたしだってプライベートで何かあったとしても、仕事に支障が出ないようにはしているつもりだ。……でも。

「……わかってても、簡単には切り替えられない場合もあるじゃないですか」

まるで自分が責められているような気になって、つい語尾を強めてしまった。


「俺は小学生の頃からサッカーをやっているが、プライベートなことでプレーに影響が出れば、それは集中できない自分のせいだ」

「それは、そうですけど……」

正論をつきつけられて、反駁の言葉も出てこない。


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