甘い恋飯は残業後に
「山西さん、信じられない! 誠実そうな人だと思ってたのに……!」
水上ちゃんは今の話を聞いて、自分のことのように憤慨している。
「でも心配は無用ですよ。万椰さんの変な噂が聞こえてきたら、全否定しておきますから!」
……あぶない。ちょっと、泣きそうになってしまった。
「ありがとう、水上ちゃん」
わたしは精いっぱい、余裕のふりをして彼女に微笑んでみせる。
「さっきの彼女が言う通り、桑原さんは何も言わないのが得策だろうね。妙な噂なんて、本人が無視してればすぐに消えるさ。それにモリヤの方はともあれ、フォレストフードの社員は誰も、桑原さんのことを悪い人間だとは思っていないから大丈夫だよ」
「……ありがとうございます」
ふたりして、そんなに優しい言葉を掛けないでほしい。
涙をぐっと堪え、なんとかやり過ごしてから、わたしは残りのサラダそうめんを口に運んだ。