甘い恋飯は残業後に
“美人は何もしなくてもモテるからいいよねー”
そう人に言われるたび、心の中で毒づく。
モテるって言っても、実際に寄ってくるのはジコチューなナルシストか、思い込みの激しい奴か、ちょっと病んでる感じの男ばかりだよ!
どうせモテるなら、イケメンで優しくて、外見だけじゃなくわたしのことをちゃんと見てくれる男にモテたいわよ! と。
口に出すことが出来ない分、わたしの中はどんどんドス黒く染まっていっているような気がする。
*
「今日はいつものと、グラスワインの赤だけでいい」
わたしはいつものように店のカウンター席に座った。
週の半ばのせいか、店内は比較的空いているように見える。
――少しは話せそう、かな。
「……なんだ。ダイエットでも始めたのか?」
コック帽を被った彼は、そう言いながらオープンキッチンの厨房から怪訝そうな顔をこちらに向けた。
「ダイエット中なのはわたしじゃなくて、お財布」