甘い恋飯は残業後に
「うわ! やっぱり万椰さんかっこいい!」
隣に座っていた水上ちゃんは、そう言ってわたしの腕に抱きついた。
「ちょ、ちょっと水上ちゃん、もう酔ってるの?」
「酔ってませんよぅ。そんなかっこいいセリフを聞いたら、抱きつきたくもなりますって」
今まで自分の周りに水上ちゃんのような人がいなかったから、こういうことをされると戸惑ってしまう。
「別にかっこよくなんかないでしょ。男の人からすれば可愛げのない女だろうし」
「いえ! 男に媚びない感じがかっこいいです!」
あまりにも真っ直ぐな言葉に、それ以上何も言えなくなってしまった。
わたしは水上ちゃんに憧れてもらえるような人間じゃない。傷つくのが怖くて、自分の殻に閉じこもっている臆病な人間だ。
でも『かっこいい』と言ってもらえたことは純粋に嬉しくて、言葉の代わりに水上ちゃんの頭をぽんぽん、としたら、何かと重なって胸が小さく騒いだ。
そこそこお酒も進み、話題は恋愛のことになった。とはいっても、水上ちゃんの恋愛相談がメインで、大貫課長とわたしは聞き役に回っている。
「この間の合コンの時も、気合入れて行ったんですけどー……」
お医者さんとの合コンだと言っていたあの日の水上ちゃんは、たしかにいつもよりも気合が入っていたな、と思い出す。白いワンピースが彼女によく似合っていた。
「良さそうな人いなかったの?」
「それが、聞いて下さいよー!」