甘い恋飯は残業後に


外見で全てを判断されるのが嫌なくせに。完全に矛盾してる。

結局、わたしは自分の容姿に甘えきって、いいように利用していたんだ。


「……馬鹿みたい」

その上、先に進むのが怖いからと、寄ってきた人にとっての一番の“うまみ”を与えようとしない。

「本当……嫌な女」

あまりの自分の馬鹿さ加減に、笑いが込み上げてくる。


兄貴に『中身がない』と言われていた理由が、今やっとわかった気がした。

どんなに勉強したって教養を深めたって、肝心な、人としての大事な部分がごっそり抜け落ちていたんじゃ意味がない。

美人が差別用語に感じるだなんてよく言えたものだ。一番、自分を美人だと認めていたのは誰でもない、わたし自身だったというのに。

どれだけ自惚れていたんだろう。


わたしは、やりきれない気持ちでいっぱいだった。何か叫べば少しはすっきりするのかもしれない。でもここで大声を張り上げたらただの不審者だ。


わたしは結局、お酒に逃げることにした。もう少しで叔父さんの店だ。


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