甘い恋飯は残業後に
会社を出たわたしは真っ直ぐ叔父さんの店には向かわず、一駅分歩いた先のファッションビルをぶらついていた。
最近は寄り道することなく、仕事が終わると叔父さんの店か家、時々コンビニという枯れた生活を送っていたから、こんな些細なことでも心に潤いが満ちていく気がする。
実は、会社一階のロビーに着くまでは、真っ直ぐ叔父さんの店に向かおうと思っていた。どうして気が変わったのかと言えば、ふと、にやけ顔の叔父さんの顔が目に浮かんだからだ。
お店で何時間も前から難波さんを待っていれば、間違いなくからかわれる。それに、意図的でないとはいえ「どうしようかな」などと思わせぶりなことを言っておいて、結局素直に待っていたんじゃないかと難波さんに思われるのも癪だった。
ビルの中を上階から順に歩いてみると、しばらく来ていなかったせいか、いくつかのお店が入れ替わっていた。
こういう業界はシビアだと、テナントの入れ替わりを見るといつも思う。もちろん、どの業界もシビアなところはある。でも小売業や外食産業はお客が来てくれなければ、どんなに質のいいサービスを提供していても潰れていくだけだ。