甘い恋飯は残業後に
――そして、その不安は残念なことに的中する。
「万椰さん!」
オフィスに戻ると、わたしを見るなり水上ちゃんが血相を変えて飛んできた。
「な、何?! そんなに慌てて」
「二課の、三浦係長の話聞きました?!」
二課の三浦係長というのは、『Caro』の初代店長だった人だ。わたしが『Caro』の担当になる少し前に店舗営業部二課に異動になっていた。
「三浦係長がどうかしたの?」
「午前中に、上層部から呼び出されたみたいなんですけど……」
一係長が上層部から呼び出しをくらうなんてことは、良いことか悪いことかの両極端で、しかも滅多にあることじゃない。
水上ちゃんは余程慌てていたらしく、胸に手を当てて息を整えている。
「やっちゃったらしいです、あの人」
「……やっちゃった?」
その言葉だけでは全く状況が見えない。わたしが眉根を寄せると、水上ちゃんはこくりと頷いた。