甘い恋飯は残業後に


「幸い、『Caro』自身がまだそこまで名が知れ渡っていなかったことと、わかった時点で匿名掲示板の方へは書き込みの削除依頼を出して今は削除されているようだから、特別大きな騒ぎにはならなかったみたいだけど」

「……あの、何故三浦係長が犯人だとわかったんですか?」

水上ちゃんが遠慮がちに疑問を口にした。それは確かにそうだ。

「彼が賢い人間だったら、特定までもっと時間がかかってただろうね」

大貫課長はそう言って冷笑を浮かべた。
課長のそういう顔は初めて見る。でもそうしたくなる程に、大貫課長も三浦係長に対して憤りを覚えているのだろう。


「モリヤのネットワーク環境がどうなっているのかは、ふたり共よくわかっているよね?」

わたし達は「はい」と揃って頷く。

モリヤも大半の企業と同じく、イントラネットと呼ばれるインターネットの技術を利用した組織内ネットワークを使っている。もちろん各支社、店舗なども同様だ。

「フォレストのネット環境も基本はモリヤと同じなんだけど、フォレスト内だけで使えるソフトやらの構築でごたついて、実は今年度に入るまでモリヤよりもセキュリティーが甘かったんだよ」

モリヤの場合、本社の情報システム課がネットワーク関連を一括管理していて、常に監視している。ウイルス感染や情報流出を防ぐため、業務に不要だと思われるサイトへアクセス出来ないように、フィルタリングされている筈。フォレストのネット環境はその辺が甘かった、ということだろうか。


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