甘い恋飯は残業後に
「それに……三浦係長だけが問題を起こした訳じゃない」
「えっ」
思いがけない言葉に、大きな声が出てしまった。
そう言えば、大貫課長はあの時『その他にも問題がある』と言っていた。そのことだろうか。
「いずれにしても今回の件は全部『Caro』の従業員が絡んでいるから――」
わたしは思わず、小さい子がするみたいに難波さんのTシャツの裾を掴んでいた。
「あの……っ」
声を出してはみたものの、仕事のことと私情とが絡まり合っていて、何を言えばいいのかわからない。でも、何か言わなくては。
「難波さんが『Caro』に関われなくなるなんてことは、ないですよね……?」
「それは、俺の口からは何とも言えない」
曖昧な言葉に、心がざわつく。
「だって、難波さんは誰よりも『Caro』のことを大事にしてきたじゃないですか。それに難波さんがいなくなったら『Caro』は――」
「俺がいなくとも、他の誰かが『Caro』を発展させていくだろ」
そんなこと、難波さんの口から聞きたくなかった。
「“子供”を見捨てるんですか」
「……は?」
「『Caro』は難波さんの子供みたいなものじゃないですか」
違う。本当はこんなことが言いたいんじゃない。