甘い恋飯は残業後に
入った部屋は、リゾートホテルかと錯覚しそうな内装で驚いた。もっと艶めかしい感じかと想像していたから、尚更。
物珍しさも手伝って室内を見回していると、背後でとすん、と音が聞こえて、小さく肩が跳ねあがった。
「……悪いな」
「……えっ?」
難波さんはわたしの横を抜け、近くにあったソファーへと腰を下ろす。
「いや……ちゃんとした場所を用意してやれなくて」
さっきからどこか彼が困惑した様子なのは、思いがけない展開になってしまったせいなんだろうか。
わたしはその言葉に、首を小さく横に振ってみせる。
「わたし、実はこういう場所も初めてで……でも、こんな綺麗なところだとは思っていなかったから、むしろ味気ない内装のビジネスホテルよりはいいですよ」
強気に返してはみたものの、声の震えはごまかせていない。難波さんはそれをからかうこともなく、わたしに先にシャワーを浴びるよう促した。
浴室に続く扉は、普通でほっとする。友人から以前聞いた話では、浴室が全面素通しのガラス張りというホテルもあるらしく、ここもそうだったらと内心不安に思っていた。
髪は濡らさない方がいいかと、アメニティにあったゴムで髪を括る。中に入って、わたしは視界に飛び込んできた大きな浴槽に気圧されてしまった。
難波さんが困惑している理由が、わかった気がした。内装はリゾートでも、否応無しに意識させられる空気がそこかしこに漂っている。