甘い恋飯は残業後に
わたしと入れ違いで、難波さんが浴室に入る。彼のシャワーの音が部屋にまで聞こえてきて落ち着かない。わたしはその音を掻き消そうとソファーに腰かけ、テーブルの上のリモコンを手にした。
――が、それが大きな間違いだった。
「わっ!」
大画面に映し出されたのは、男女の“コトの最中”の映像。
こういうものを観たのは、兄貴の部屋で間違えてプレーヤーを再生してしまった時以来だ。
固まったまま、わたしはあろうことか、ぼんやりとその映像を観てしまっていた。ふと我に返り、慌てて電源を落としたものの、時すでに遅し。
「――意外と、やる気満々なんだな」
振り返ると、髪に雫をしたたらせた難波さんが立っていた。その姿は球技場で見た時よりも色気を帯びていて、どきりとする。
「ちっ、違……っ」
「別に隠さなくてもいい」
「だから、違いますって……!」
ニヤリと笑みを浮かべながら、彼はわたしの隣に座る。
「観ながらでもいいけど」
「……観なくていいです」
恥ずかしさに、俯く――と、顎に指を掛けられ、強引に上を向かされる。
淡く、唇が重ねられた。
「……本当に、無理してないんだな?」
吐息がかかる近さのままで、難波さんはわたしに問う。
わたしは頷くまでに、少しだけ間を空けてしまった。躊躇したんじゃない、わたしが自分に対して最終確認するためだった。