甘い恋飯は残業後に
祝勝会が終わったと難波さんからメッセージが送られて来たのは、午前〇時過ぎ。
何時でもいいから終わったら連絡が欲しい。そう言ったのはわたしのほうで、時間など気にしなくてもよかったのだけど、彼からの文面には「深夜に悪い」と気遣う言葉が添えられていた。
試合と遅くまでの祝勝会で、きっと疲れているだろう。
声が聴きたいという欲求を抑えて、わたしは改めてお疲れ様の言葉と、あらかじめ用意していた“兄貴の告白”を難波さんに送った。
返事はすぐに来た。
《それは千里のせいじゃないだろ。俺からヤツに気にしなくていいと言っておくよ》
わたしが好きになった人は、こういう人だ。
文面に胸が温かくなって、口許が綻ぶ。
おやすみなさい、と送ろうとした刹那、今度は携帯が着信の音を鳴らして驚いた。
「……もしもし」
『今日は応援に来てくれてありがとうな』
「勝ってよかったですね」
『ああ』
電話しているだけなのに、むず痒いような照れくささを感じる。
当たり障りのない日常会話的な話をいくつかした後、ふと、無音になった。
しんとした奥に、彼の気配を探る。