甘い恋飯は残業後に


男女兼用のロッカー室に入ると、そこには既に難波さんがいた。

「……お疲れ様です」

怒りを押し殺しながら、仕方なく最低限の挨拶だけはする。

「明日も来るぞ」

借りていたロッカーから自分の服を取り出し、更衣室のカーテンを開けようとしたところで、後ろからそんなセリフが聞こえた。


「……は?」

「明日も桑原は俺と、ここのヘルプに入る」

労う言葉もなく、ここまで勝手なことばかり言われたらさすがに黙ってはいられない。


「失礼ながら、店舗のヘルプは二課の仕事かと思いますが」

「そんな細かいことはどうでもいい」

「どうでもいい、って……どういうことですか。今週は巡回を勘弁してやるって、難波さん、先週そうおっしゃったじゃないですか」

怒りで声が震える。

「これは巡回じゃない。店舗でイレギュラーなことがあったら、こちらの都合はどうあれ、店舗が機能するように対応するのは当然だ」

「だからそれは二課の仕事で……!」

勢いで怒りをぶつけそうになって、ぐっと言葉を呑みこんだ。

だめだ。いくら理不尽なことを言っていても相手は上司だ。冷静になれ、わたし。


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