甘い恋飯は残業後に
ただでさえ誰かのせいで仕事がずれ込んでいるところに月末の忙しさが加わり、更に思いがけない『Caro』のヘルプ業務で、結局いつもよりも一時間長く残業する羽目になってしまった。
今日はとことん飲まなきゃ気が済まない。給料日は明日だし、もうこの際、懐は気にしないことにする。
「おかわり」
わたしは注がれたばかりの赤ワインを一気に飲み干して、叔父さんにグラスを差し出した。
「なんだ、随分荒れてるな」
「……ちょっとね」
眉を顰めながらも、叔父さんはグラスにワインを注いでくれる。また一気に飲み干そうをしたところを、叔父さんの手がそれを阻止した。
「ちょ、っと、零れるってばっ」
「うちの店は、食事とお酒をゆっくり楽しむところだ。そんな飲み方する奴はよそへ行ってくれ。店を出て行きたくなければ、普通に飲むんだな」
叔父さんは低い声でそう言って、厨房の方へと消えていった。
……わかってるけど。こんなこと、ここでしか出来ないんだもん。
ばつが悪くて、ふて腐れた格好でカッテージチーズのカナッペを齧る。