甘い恋飯は残業後に
聞き覚えのある声が、自分の真後ろから聞こえた。
背中に、嫌な汗が滲む。心臓がドクドクと脈打つ。
誰か、この状況を嘘だと言ってほしい。今聞いた声は、違う人のものだと――。
「あれ? どうした、宗司」
わたしの真後ろにいる人物を、叔父さんは笑顔で『宗司』と呼んだ。
――――完全に、終わった。
「高柳さん、俺、ここに席移ってもいい?」
「おう」
叔父さんはわたしに断りも無く、勝手に返答する。
「こちらに料理とお飲み物をお持ちしますねー」
「ああ、すまない」
美桜ちゃんも初めて来たお客さんに対してという感じではない、何となくくだけた応対の仕方をしている。
どういう、こと……?
その声の主はおもむろにわたしの隣の席に座った。