甘い恋飯は残業後に
「……どう、して、難波さんが、ここに……」
さすがに横を向くことは出来ず、俯いたまま尋ねた。つっかえつっかえになってしまって、動揺しているのがモロバレだ。
「俺もこの店の常連だからな」
「……え」
そんなの……知らない。だって、今までこの店で一度も見かけたことなんか――。
「なんだ? 万椰んとこの部長っていうのは、もしかして宗司のことだったのか?」
「えー! そうだったんですか?!」
叔父さんは満面の笑みを浮かべ、美桜ちゃんは何故かはしゃいでいる。
――待って。
当事者を置いてきぼりにしないでよ。
「あの……どういうことなのか、事情がよく呑み込めてないんだけど……」
「呑み込めてもなにも、なぁ」
叔父さんは、何を今更、とでも言いたげな顔をしている。
「それに何で、叔父さんは難波さんとそんな親しげなの?」
いくら常連でも、叔父さんはお客さんを下の名前で呼ぶことはない筈だ。ましてや呼び捨てなんて……。
「何でって、そりゃ――」
「大学時代にこの店が気に入って、それからずっと通ってるからだよ」
難波さんは叔父さんに掌を向けてその先の言葉を制すると、落ち着き払った声でそう言った。