甘い恋飯は残業後に


「宗司、あんまり万椰をいじめないでやってくれよ」

そう言い残して、叔父さんは厨房の奥へと引っ込んでしまった。美桜ちゃんもすでに仕事に戻っている。


今、この人とふたりきりにしないでほしいのに……!

「俺は桑原をいじめているつもりはないけど……」

難波さんはぼそりとそう呟くように言ってから、美桜ちゃんがいつの間にかこちらに持ってきていた赤ワインを口に運んでいる。


「……あの」

打ち負かされたような気がして悔しかったから、じゃない。

困った顔をするでもない、いつもどおりの無表情の顔を見ていたら、どうしても言わずにはいられなくなってしまった。


「もう、この際だから言わせてもらいますけど」

緊張のせいか、喉の奥がつかえるような感覚が襲う。鬱積していたものを吐き出そうとしたのを、抑え込むみたいに。

でも、あの愚痴を単なる悪口のままにはしておきたくない。


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