甘い恋飯は残業後に



それからわたしは、難波さんのプレートをそのまま引き取り、お皿の上にあったラムチョップを完食した。

正直言えば、物足りなかった。そう思える程の味だった。でも、新たに頼めば難波さんにからかわれるのが目に見えて、仕方なく今日はそれだけにしておいた。

しかし人気メニューとはいえ、この店のラム肉がこんなにおいしいものだったとは。

……悔しいけど、感謝しなくちゃいけないかな。



気がつけば時計の針は〇時に差し掛かろうとしている。

わたしは難波さんがトイレに立ったこの隙に会計を済ませてしまおうと、近くを通りかかった美桜ちゃんをつかまえた。


「さっき宗司さんが、万椰さんの分も一緒に会計してくれましたよ」

「え?」

慌てて店内を見回す。もしかしてもう帰ってしまったかと焦っていると、店の奥にあるトイレから難波さんが出てきた。


「あの、難波さん」

「もう〇時だな。桑原の家はどの辺だ?」

「この近く、ですけど……」

「送っていく」

難波さんはわたしの返事を待たずに、店の出入り口付近へと歩いていく。わたしは傍らに置いていた携帯を鞄に放り込んで、叔父さんへの挨拶も早々に彼の後を追いかけた。


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