甘い恋飯は残業後に
「……すみません。ああいう時どう対処したらいいのか、情けないことによくわからなくて……お手間をおかけしました」
深く頭を下げる。難波さんが来なかったら、わたしはあの後どうしたんだろうと考えると、また苦い記憶が胸をひりつかせた。
難波さんは口を開く気配もなく、いつもの仏頂面でこちらを見ている。
もしかしたら、俺の手を煩わせやがって、とわたしの不甲斐なさを怒っているのかもしれない。
が、いずれにせよ、難波さんがだんまりを決め込んでいては動くに動けない。
忙しい時間帯に、これ以上ヘルプのふたりが抜けたらまずいんじゃないだろうか。
わたしは考えた末、仕方なく無言のままの難波さんに「じゃ、フロアに戻ります」と告げてから彼の脇を抜け、倉庫の扉に手をかけた。
「……桑原はもう、フロアに出るな」
その言葉に振り向くと、難波さんは仏頂面に加えて、眉間に皺を寄せている。
やっぱりそれは、わたしが足を引っ張ったということだろうか。