甘い恋飯は残業後に
それからのランチタイムは、さながら戦場のようだった。
ようやくカウンターから出られたのは、午後二時過ぎ。ほぼ予定通りとはいえ、この時間まで昼食が取れないのはさすがにきつかった。
……きつかったのが、昼食を取らなかったことだけと言えるのがまた悔しいけど。
今日は本当に、難波さんには助けられた。
カウンターに入って指示された仕事は未経験者でもやれることばかりで、何かあればさりげなくフォローが来た。おかげで忙しい中でも失敗することなく、無事にヘルプとしての役割を果たすことが出来た。
『Caro』のスタッフが難波さんに絶大な信頼をおいていることも、発起人という理由だけではないと、今回のことでよくわかった。
「あ、お疲れ様です」
難波さんがロッカー室に現れたのは、わたしが入ってから五分程経った頃。彼はロッカー室に入るなりパイプ椅子をぞんざいに引くと、ガタリと大きな音を立てて座った。
「今日は随分とハードだったな」
彼の大きなため息が室内中に響く。わたしのフォローまでしていたから、余計に疲れたのだろう。凄く、申し訳ない気持ちになる。
「腹減っただろ。すぐ飯食いに行くか」
「あ、あの」
冷蔵庫を視界の隅に捉えながら、わたしは立ち上がりかけた難波さんを引き留めた。