甘い恋飯は残業後に
「今日の日替わりヘルシーランチは何だろうなー」
「昨日は肉だったから、今日は魚じゃない?」
リテール本部も交えたモリヤ側との会議は、何事もなく無事に終わった。
水上ちゃんと大貫課長の会話を聞きながら、あの山西という男がいつ会議室から出てくるかと、後ろを振り返ってみてしまう。
「……山西さんのこと、気にしてるんですか?」
わたしの様子でわかったのか、水上ちゃんは心配そうにわたしの顔を覗き込んできた。
さりげなく見ていたつもりだったのに、バレていたなんて恥ずかしい。
「心配しなくても大丈夫だよ。俺達もいるし」
大貫課長は、いつものように優しく微笑んでそう言ってくれた。
ふたりとも、本当にいい人達だ。
「……ありがとうございます。心配はしてないんですけど……あ、わたしちょっと、同期のところに用事があったのを思い出したんで、先に社食に行ってて下さい」
わたしはそう言いながら彼らを追い越した。先にオフィスに戻ることも出来たけど、“逃げてる”と悟られるのも嫌で嘘をついた。
ふたりにこれ以上、余計な心配も迷惑も掛けたくない。それに、会議のようなやむを得ない状況以外で、あの男と顔を合わせることになるのはどうしても避けたかった。
もしかしたら向こうは、もうわたしのことはどうでもよくなっているかもしれないけど、それでも。