甘い恋飯は残業後に
ゲラゲラと、トイレ中に笑い声が響く。
彼女達が誰なのか、声で何となく察しはついた。
ひとりは、以前の部署で一緒だった、ひとつ年下の彼女だろう。いつも中途半端な仕事しかしなくて、そのことをやんわりと指摘したら不服そうな顔をされたことがあった。もうひとりは恐らく、フォレストの面接に落ちたと聞いた、リテール本部の人。
……私怨も混じると、ここまでの悪意になるのか。
「まったく、美人が偉い訳じゃないっての」
どうやら彼女達は、この悪口が他人に聞かれないようにとトイレに入って来ただけだったらしい。その言葉を最後に、ふたりはここを出て行った。
「……わたしが、何したっていうのよ」
どれだけ他人に気を遣っても、何かのきっかけで悪意は容赦なく向けられる。
昔から、ずっとそうだった。
わたしはそれから二分程経過してから、恐る恐るトイレを出た。