甘い恋飯は残業後に
結局あの後、わたしはまた難波さんに奢られてしまった。
『コースみたいだったし、奢ってもらうのはさすがに申し訳ないです』
そう言ったのに、難波さんは頑なにわたしからお金を受け取ろうとはしなかった。
『じゃ今度、高柳さんの店でワインを奢ってくれよ。もちろん、ボトルでな』
わたしが納得いかない顔をしていたからか、難波さんは去り際、仕方ないなとばかりにそんな妥協案を出してきた。
叔父さんの店のワインなら、一番高いものでもたかが知れている。多分、難波さんもそれをわかっていてそう言ったのだろう。
――お金、下ろしてきたんだけどな。
昨日現れていたのであれば、今日彼がここに来る可能性は低いかもしれない。
「今日は誰かと待ち合わせなんですか?」
「……え?」
「だって、さっきから万椰さん、店の入り口の方ばかり気にしてるから」
美桜ちゃんに言われて初めて、自分がそうしていたことに気がついた。