甘い恋飯は残業後に
「美桜ちゃん、そんなの聞くだけ野暮ってもんだよ」
叔父さんはモツ煮をわたしの前に置きながら、そう言ってニヤついている。
「ああ! そういうことですか!」
「もう、勝手に納得しないでよ美桜ちゃん! 違うから!」
「何が違うんだ? 万椰。俺達はなーんにも言ってないけど?」
見れば、叔父さんだけでなく美桜ちゃんまでニヤニヤとしている。
……墓穴、掘ったかも。
「……別に、待ち合わせしてるんじゃないってば。ただ今日、随分と豪華なお昼をご馳走になっちゃったもんだから、来たらお返ししなきゃと思って。あの人に、あまり借りをつくりたくないの」
叔父さんは意味あり気に「ふうん」と言っただけで、厨房の奥へと消えていってしまった。
美桜ちゃんは、といえば。
「昨日、『今日は来ないな』って宗司さんも万椰さんのこと気にしてたんですよ」
うふふ、と嬉しそうに笑みまで零して、そんな余計なことをわたしに耳打ちした。
「……なんなのよ、ふたりして」
どうして彼らがわたしと難波さんをそういう関係に持って行きたがるのかはわからないけど。
――ふたりの意のままになってたまるか。
わたしはそう思いながら、モツ煮を頬張った。
口の中を、ちょっと火傷した。