薬指の約束は社内秘で
答えを弾き出そうとすると心臓が鷲掴みされたように息苦しくなる。

あぁ、ダメだ。ダメダメ。考えるな。

応接室の扉をノックした仙道さんの後ろで心に何度も言い聞かせ、気持ちを落ち着かせるよう息をつく。

「藤川さんをお連れしました」

業務的な声を出した仙道さんが扉を開く。

スマホを片手に流暢なドイツ語を話していた唇が、一瞬その動きを止める。

プライベートを職場に持ち込んでる場合じゃない。

そう強く思うのに、どうしようもなく胸が震えてしまう。

開かれた扉の先で私を待っていたのは、葛城さんだった。
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